蒼月の約束
「なにそれ、怖っ!!」
ホラーな話が大の苦手なエルミアは震えあがった。
「ただ入るだけならいいと思ったけど、その彷徨える魂とか飛んでたらどうすんのよ~!
嫌よ、ゴーストとご対面なんて!
自分がそれになったら、もっと嫌だけど!」
勝手に自分の想像に怖気づくエルミアを、リーシャはなだめる。
「落ち着いて下さい。誰もミアさまに頼むなんて言っていませんから」
「そもそも、帰って来た人がほとんどいないのでは、それが事実なのか、ただの逸話なのか分かりませんね…」
ナターシャの隣で本をのぞき込みながらサーシャが言った。
「それにアゥストリが、森が人を選ぶって言ってたけど、それは本当なのかな…」
「そこは、王子に聞くしかなさそうですね」
片道に一日は要する森まで行ってきたことは、今日帰ってきた王子たちを見ればなんとなく予想できた。
「まずは、王子の回復を待たないと」