蒼月の約束
「太古の森と鴉の社について、調べに行ってたの。
知っていそうなアゥストリに会いに行って…」
「ドワーフの村に行ったのか?」
「う、うん…。でも、リーシャ達は怒らないであげて!
私が行くって言って聞かなかったから。
それに、ちゃんと守ってくれたし…」
「戦闘になったのか!」
「違うの!なりそうになった、だけ…」
また怒られると思って、目をぎゅっとつぶったが、王子は予想外の行動に出た。
エルミアをぎゅっと抱きしめて言った。
「頼むから、私がいないところで危険な真似はやめてくれ」
体と気が弱っているせいか、いつになく弱気に懇願する王子の声を聞いて、心がぎゅっと締め付けられた。
「ごめん…」
「グウェン、エルフ三人を図書室へ呼ぶように」
エルミアを抱きしめたまま、黙って後ろに立っているグウェンに命じた。
グウェンは「はい」と言うと、すぐにその場から去った。
「あの~…」
エルミアは、王子の中で口をもごもごさせながら言った。
抱きしめられて、心臓が発作を起こすんじゃないかと心配になる。