幻想館-白雪姫-
「ママ・・・」


少年は小さく呟いた


「そんな所にいないで、こちらへ来てごらん」



暗い壁際に立っていた少女は頷いた。



肩まで伸びたストレートの黒髪。


あどけない表情は、この少年と一緒だった。



只一つだけ違っていたのは、少女には温かい愛情が注がれていた事だった


ほんの短い期間でも

少女は少年の隣に座った



少し照れくさそうにする少年。


少女の可愛らしい笑顔は、少年の心を癒やしていく。



「さあ、どうぞ」


やはり温かいミルクを少女にも運んで来た。



少女はマグカップから伝わる温かさを感じていた。



そして、ひと口飲む。


「おいしい!」


それは少女の本当の感想でした。



二人にはそれぞれの思いがあった。



彼は本来の仕事に戻るべく、フィルムを回した。
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