妹を溺愛する兄が先に結婚しました
「淡い初恋の思い出ね」


「うん。その後も好きな人ができたけど、ことごとく邪魔されて。

……そうそう、この前の合コンだってさ!」


「真崎先生が乗り込んできたんでしょ」


「そう!もうなんなのって感じ」


「それはあれだね。歴とした、“シスコン”だね」


世間一般では、兄のような人物を“シスターコンプレックス”と呼ぶ。



そんな兄に、私は困っている。



***



練習終わり。


部室の鍵を職員室に戻した帰り、声をかけられた。


「あれ、結咲ちゃん?」


「あ、先輩!お疲れ様です」


菅原先輩がいた。


バスケ部の中でも1位2位を争う長身で、片耳ピアスが似合う大人の魅力溢れる先輩。


大人って言っても1つ年上なだけなんだけど。

それでも1歳差って大きいなと思う。


「女バスも終わり?」


「はい。今、部室の鍵を片したところです。男バスも終わりですか?」


「うん。……そうだ。一緒に帰らない?」


わ、うそ!

先輩に誘われちゃった。


「はい!」


元気よく返事すれば笑顔を見せる先輩。


その笑顔にキュン。



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