妹を溺愛する兄が先に結婚しました
「真崎、魂抜けてるぞっ」


「……私のことは屍だと思って」


ゲーム形式の練習になって、端で休憩中の私に和奏が話しかけてきた。


隣にしゃがみ込んだ。


「ははっ。大変そうだな。

……でも、真崎兄妹って仲良いよな」


「仲良い?マジで言ってる?」


「大マジ。俺も兄弟いるけど、あんま会話しねぇもん」


「へぇ……、和奏、兄弟いるんだ」


「兄が1人と姉が3人」


ってことは、5人兄弟。


「多いね」


「冷めてるけどな。

唯一仲良かった姉貴が結婚して家を出てから、誰とも話さなくなったし」


「そうなの?……うちとは大違いだね」



その時。

私と和奏に影が落とされた。


なんだろうと思って見上げれば。


「げっ」


不機嫌そうな兄が立っていた。


「サボってんじゃねぇぞ、和奏」


「うわっ!……おえっ、苦しい苦しい」


兄は、和奏の襟を引っ張って無理やり立たせた。


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