妹を溺愛する兄が先に結婚しました
つい兄を睨みつける。


「なんで睨むのかな?……そんな結咲も可愛いけど」


む、むかつく……っ!


兄から目を逸らして、膨れっ面になる。



するとそこへ。


「真崎ー!」


和奏が声をかけてきた。


兄を見て一瞬ビクッとしたけど、手に持ったビブスを私に差し出す。


「これ、静也に渡しといてくれない?」


「え、私が……?」


「だって真崎も洗濯当番だろ。静也も当番で洗濯室にいると思うから」


「……え?」


時原も洗濯当番だったの?


「今日は夏目に代わってもらったから、自分で持ってけ」


兄が代わりに答えた。


「あ、そうなんすね。じゃ、いいや。失礼します」



和奏の後ろ姿を見ながら……。


「どういうこと?」


自分でもビックリするくらい低い声が出た。


「別にー」


適当に返事する兄。



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