妹を溺愛する兄が先に結婚しました
「な、ななななんで、ここに……っ⁉」


「んー?なーんか、結咲の声がしたと思ってね」


ついギロッと睨む。


もうこれ癖になってる。


兄が現れる度に疑心暗鬼が募っていくんだ。



「……邪魔しに来たの?」


「そうだよ」


あっさり認めやがった。


「クラスメイトと話してるだけなんだけど?」


「そうは見えないけど?」


「視力イカれてるんじゃない」


「そうかもね。俺の目は結咲しか映らないから」



……くっ。

ムカつく!



どんなに言い返したって、いつも兄が上を行く。


飄々として余裕があって。

私の感情を弄ぶ。



どうしたらこの兄に勝てる?


どうしたら兄を困らせられる?



一度でいいから兄の余裕そうな表情を崩したい。


そう思った時。


普通だったら兄の前でこんな大胆な行動はしないんだけど。


その時はもうコレしかないと思った。



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