妹を溺愛する兄が先に結婚しました
私は、時原の腕に抱きついて、思いっきり叫ぶ。



「私の目には時原しか映ってないからっ!」



もう半分ヤケだった。


兄にバレているならとことん見せつけてやろうじゃないかと。



「はぁ⁉︎」


あ、やりすぎた……。


見る見るうちに怒りの形相になっていく兄。


表情を崩すどころか、ぶっ壊してしまった。



スルリと時原の腕から離れて。


……もうこうなったら逃げるしかない。

言ったもん勝ち、やったもん勝ち。


下瞼を下げて、舌を出し……。

つまり、あっかんべーを噛まして、私はその場から逃げた。


我ながら子供っぽいことをしたと思いつつも、やってやった満足感に満たされる。





~Side 時原~



わなわなと肩を震わす真崎先生。


なかなか面白い場面を見た気がする。



「なに照れてんだよ」


怒りに満ちた真崎先生の顔がこっちへ向いた。


「いや、別に……」


「あれは俺に反抗して言っただけであって、本心じゃねぇからな」


「わかってます」


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