妹を溺愛する兄が先に結婚しました
「つーか、お前。……絶対、結咲に惚れんなよ」


そんなことを“兄の顔”で言うもんだから、思わず。


「……なんでですか?」


聞き返してしまった。


「結咲は俺の大事な“妹”だから」


「妹……。


先生のそれは、ほんとに“家族”に対してなんですか?

それとも……、“異性”としてですか?」


なんで自分でもそんなことを聞いたかわからない。


別に答えに興味はないんだけど。


「……俺の結咲への気持ちは、そういうレベルの話じゃねぇんだよ」


質問しておいてなんだけど、意味がわからない。



「ま、お前は立ち止まったままだから助かるけど」


立ち去ろうとした俺は、先生が呟いたその言葉に足を止める。



……立ち止まったまま?


「なんのことですか……?」


「さあな」


終始不機嫌のまま真崎先生はいなくなった。



意味のわからない言葉を残されて、モヤモヤが募る。


……俺、こういうの嫌いなんだよ。


面倒くさい。



~Side 時原 END~





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