妹を溺愛する兄が先に結婚しました
リビングで癒しのひと時を過ごす。


鬼の居ぬ間になんとやら、ってね。



テレビから流れるお笑い番組を見て、ゲラゲラ笑う私。


すると、私の隣にゆかなさんが座った。


「結咲ちゃん。今度の日曜日、一緒にお出かけしない?」


「わ、いいですね!したいです!」


テレビから目を離し、スマホを見ながらどこへ行きたいかゆかなさんと会話を弾ませる。



そんな時。


ガチャリと鍵の開く音がした。



「桜太くん帰ってきたかな」


すかさずゆかなさんが立ち上がり、兄を出迎えにいく。


なんとできたお嫁さんなんでしょう。



一方の私は、兄と顔を合わせないようにさっさと自室へ戻ろうとする。


なんと不出来な妹なんでしょう。



しかし、リビングを出て階段を上がろうとした時に。


「ただいま」


兄と出くわした。


「……お、おかえり」


何か言われる。

そう覚悟していた私の横を、兄は何もなかったように通り過ぎていった。



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