妹を溺愛する兄が先に結婚しました
……直後。



「ゆか姉?」



その言葉が、意外な人物の口から零れた。


「……和奏」


苦笑いするゆかなさん。


「なんで、ゆか姉が……」


驚愕する和奏。



……どういうこと?



***



カフェに移動した私たちは、ゆかなさんと和奏を真ん中に、向かい合わせに座る。



「ゆかなさんと和奏がまさか姉弟だったなんて……」


「俺的には、ゆか姉の結婚相手がまさか真崎先生だったなんて、なんだけど」



ゆかなさんの弟が和奏で、和奏の姉がゆかなさんで。

……つまり、姉弟だった。


なんで気付かなかったんだろう。


ゆかなさんの旧姓が“旭”だと知っていたはずなのに。


和奏の名前が“旭 和奏”だと知っていたはずなのに。



……いや、正直申しますと、日常生活でゆかなさんの旧姓を気にすることなんてないし、何より和奏の苗字が旭だとすっかり忘れていた。


先生も女子もみんな、和奏って呼ぶから。



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