妹を溺愛する兄が先に結婚しました
……は?

うそでしょ?


「「おめでとう!」」


いやいやいや。

待って。


父母、なに呑気に拍手してんの。


マジで意味わかんないんだけど。


「え、結婚って……、うそでしょ?」


思わずそう口にしていた。


だけど、

ずっと私と目を合わせようとしなかった兄が、ようやくこっちを見て


「本当だよ」


穏やかな笑顔を見せながら答えた。


「はぁ?意味わかんないんだけど!」


気付いたら、机にバンッと手をついて立ち上がっていた。


「ちょっと、ゆうちゃん!」


「今までどんだけ私の邪魔をしたと思って……──っ!」


そこまで言って、我に返る。


自分がどれほど場違いなことをしているのか。


今、自分に向けられたみんなの目を見て思い知らされる。


……最悪っ。


居づらくなってリビングを飛び出した。


「結咲っ!」


兄の呼ぶ声を背中越しに聞きながら、家をも飛び出していた。



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