妹を溺愛する兄が先に結婚しました
そうこうしているうちに、試合が始まろうとしていた。


隣で練習しているし試合を何度か見たことがあるから少しは知っているけど、時原ってそんなに攻撃的なタイプではないんだよね。


無気力っぽい性格がそのまま出てるプレー。


一見すると適当とも取れるけど、みんながエースと認めることから実力があって、どんな時でもどんな相手にも自分のプレーを貫ける安定と安心感がある。


「菅原先輩ってやっぱり身長高いよね。並ぶと身長差がわかりやすい。

……静也、大丈夫かな」



天に上がった球が試合開始の合図。

ジャンプボールは菅原先輩が取って、相手チームからスタート。


早速菅原先輩にパスが回って、

開始早々、先輩が鮮やかにゴールを決めた。


拍手が起こる。


「先制点は3年生チーム。引退しても衰えてない」


「そうだね……」


ハイタッチする相手チームを、時原が腰に手を当てて見ている。



攻撃が切り替わって、今度はこっちの番。


「頑張れー!」


爽やクラスメイトが声援を送る中、私の目には時原だけが映る。


たとえ先輩が相手だとしても、あんなにあっさり決められたとしても、動じることがない。

適当なのが時原のプレースタイル。


……だと思っていた。



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