妹を溺愛する兄が先に結婚しました
途中、和奏の家の前を通る。


大きな家。

何回か入ったことがあるけど、ドラマで見るお屋敷のよう。



そんなことを考えながら歩いていると、前から人がやって来た。


……あ。

「こんばんは」


ピンと背筋を張って挨拶する。


黒いショート髪の綺麗な女性。


「えーっと……?」


「浅香 爽です。和奏の……」


「ああ、和奏の彼女」


相手は、和奏のお姉さん。


綺麗だけど気高い雰囲気を纏い、愛想笑いの1つも見せない鋭さがある。


「和奏に会いに来たの?」


否定しようとして「あ、いえ」と言葉が出かかった。

その時。



「って、そんなわけないか。あいつ家出中だし」



お姉さんの言葉が被さってきた。


「え……?」


「お父様と喧嘩して……。知らなかったの?」


「あ……、や、その……」


混乱して言葉が出ない私。


そして、衝撃的な言葉を投げつけられる。



「家出して、ゆかな姉さんのところに泊ってるらしいけど」



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