妹を溺愛する兄が先に結婚しました
秋雨。

今思えば、朝から降り続く雨は、暗示だったのかもしれない。



1週間前────


「ゆうちゃん、傘持った?」


家を出る前、お母さんに呼び止められた。


「雨降ってないよ?」


「午後から雨よ。ちゃんと天気予報見なさい」


「はーい」


気だるげに返事をし、家を出ようとして。


「あ、ゆうちゃん」


また止められた。


「なに?」


「来週の金曜日は部活ないのよね?早く帰ってきてね。お祝いするから」


「お祝い?なんの?」


「お祝いはお祝いよ!」


「ふーん。まあ、いいや。いってきまーす」


なんのお祝いだろう。

誰かの誕生日……じゃないし。


なんて考えながら家を出てすぐ。

プップーとクラクションが聞こえてきた。


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