妹を溺愛する兄が先に結婚しました
静也が出てきてくれるというので、家の近くの公園で待ち合わせをした。


待っていると、すぐに来てくれた。


知っている顔を見るだけで少し安心する。


心は不安定だけど、静也にならちゃんと話せそう。



「爽。どうしたの?」


「うん……。さっき和奏のお姉さんから聞いたんだけど。

和奏、お父さんと喧嘩して家出したんだって。


……それで、ゆかなさんを頼って、今、結咲の家に泊まってるらしい」


「え?」


目を見開く静也。

ほんとに知らなかったみたい。


「私、それ知らなくて。静也なら聞いたかなと思って電話した……」


「俺も聞いてないけど……。和奏には確かめたの?」


「ううん、聞けなかった」


「なんで?」


目の前に立つ静也の目がまっすぐ私を見る。


私は、咄嗟に俯いてしまった。


「怖いんだもん……。

内緒にしてた理由は知りたいけど、結咲のこととか……、聞きたくない」


「真崎のこと?」


気が付けば涙が出ていた。


「……っ、私、結咲が怖いの……」



もう気持ちを抑え込むのは無理だった。



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