妹を溺愛する兄が先に結婚しました
部活が終わってみんなが着替えて出ていく中、爽はベンチに座って帰ろうとしない。


部室には、あっという間に私と爽だけになった。


「爽……、帰らないの?」


「うん……」


「…………」


どうしよう。

このまま放っておけない。



少しの沈黙。

先に破ったのは爽だった。


「……ねぇ、結咲」


「ん?なに?」


「結咲にとって、和奏はなに?」


え……、和奏?


「なにって……、ただの友達だけど」


「じゃあ、なんで和奏が結咲の家に泊まっていること、私に言ってくれなかったの?」


突然、鋭い質問が切り込まれた。


「……昨日、和奏のお姉さんから聞いた。和奏がお父さんと喧嘩して家出したって」


「そう、なんだ……。えーっと……、ごめん。

和奏に言わないでって口止めされたから」


「和奏に言われたから言わないの?」


低く冷たい爽の声。


怒ってる?

……ううん、そういうのとは違う。


無感情を貫いている、そんな感じ。


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