妹を溺愛する兄が先に結婚しました
返事がなくてもいいけど……、と思っていた私の耳に。


「おはよう」

爽の言葉が届いた。


おお、無視されなかった!っていう安心感と返答があったことへのちょっとした驚き。


そして、今が謝るチャンスであることに気が付いた。


とりあえず、まず謝る。

また何か言われても、その時考える。

よし、と口を開いた。


それよりも早く。


「結咲……、ごめんね」


爽の謝罪が耳に入った。


「……え?」

あまりに急な展開だったので呆気に取られる。


「私、結咲の気持ちも考えないで酷いこと言った。ほんとにごめん!」


わざわざ頭を上げて謝る爽。


「そ、そんなに謝らないで。

私も爽の気持ちを考えられなかった。ごめん」


「結咲は何も悪くない。

私が勝手に嫉妬して、ほんとは和奏に話さないといけないことを結咲に当たり散らして……」


「不安になるのはそれだけ好きだってことでしょ?

……私も無責任だった。

和奏に『うちに来ていい』とか言ったけど、私が言うべきじゃなかった」


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