妹を溺愛する兄が先に結婚しました
兄と時原。

先に目を逸したのは……、なんと兄だった。


高村(たかむら)」と近くにいた男子を呼ぶ兄。

「花火許してやるから、時原(こいつ)見張っとけ」


そう言い残し、背中を向けて戻っていった。



花火を認められて喜ぶ高村を無視して、私の尊敬の眼差しは時原へ向く。


すごいすごいっ!

あの兄に怯まないで、むしろ黙らせた。


天然だから?

わからないけど、感動。


兄に敵意を向けられても平然としていられる人に初めて会った。


「時原、すごいよ!」


「?」

不思議そうに首を傾げる時原。


だけど、目を輝かせている私を見て、くしゃっと笑顔を見せた。


その笑顔にぎゅっと胸を掴まれる。



***



合宿最終日を明日に控えた夜。


ミーティングを終えた後の自由時間、みんなで花火をすることになった。


私が頼むまでもなく兄が許可し、2人の顧問も『頑張ったご褒美』として許してくれた。



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