妹を溺愛する兄が先に結婚しました
時原の人を惑わす行動は今に始まったことではないんだけど、未だにいちいちドキドキする。


「お風呂上がりだからかな……?」


戸惑いながら答えると、時原は納得したように頷いた。


「あー、そっか。だから顔もちょっと赤いんだ」


……まだ火照ってる?

頬に触れて、僅かに残った熱を感じ取った。



そんな私を見つめながら、唐突に時原が考える素振りを見せた。


「……?」


刹那の沈黙。


そして……。



「風呂上がりの女子の何がいいのかわからなかったけど……。

真崎は、なんか(そそ)られる」



不敵に笑って見せた。


私たちの会話を静かに聞いていたみんな。

その瞬間、どよめきが起こる。


あまりにも高い破壊力を持つ言葉。

いつもは表情が乏しい時原が笑って見せたこと。


時原らしからぬ強烈な言動に、黄色い声が上がった。



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