妹を溺愛する兄が先に結婚しました
夜に咲く花が、夏の思い出に色をつけていく。


手元で輝く花火を見ながら合宿で起きたことを思い返す。



爽と喧嘩して始まった合宿。


気まずくて苦しくて、キツかった。

……肉体的にも精神的にも。


それでもいつも通り振る舞わなきゃって。

心配かけちゃいけないって。


そんな私の心を、時原が見てくれた。


感情が溢れて泣く私を、抱き締めてくれた。


それだけで私の心は救われた。


きっと“味方”として想ってくれただけに違いない。

……それでも嬉しかったよ。


そして、爽と仲直りできた。


喧嘩はなるべくするもんじゃないって思ったけど。

言いたいことを言えて、結果的に良かったのかもしれない。



手元の花火の灯が消えて、

ふぅ……、と夜空を見上げれば満天の星。


みんなの楽しそうな声が響く。



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