妹を溺愛する兄が先に結婚しました
「そ。うちのサッカー部って結構強いらしい」


「応援しに来てやったのに、『冷やかしか?』って言われたけどな」


高村が不満そうに漏らした。


……ははっ。先輩の代から、バスケ部とサッカー部ってお互い意識し合ってるもんね。

なんて思っていると。


「真崎は来るの早いね」


時原と目が合った。


「うん。クラスの文化祭準備を覗いてから行こうかなって思って」


「へー、文化祭準備してるんだ」


同じクラスのはずなのに無関心そうな時原。


時原らしいな、なんて苦笑いが零れる。



そんな時。


「……真崎?」


どこからか私の名前を呟く声が聞こえた。


呼ぶというよりは独り言のような……。

それでも耳には届いた。


< 243 / 447 >

この作品をシェア

pagetop