妹を溺愛する兄が先に結婚しました
「お兄ちゃん。家に切手ある?」


「切手?ないけど。……なんで?」


「この手紙を出したくて……」


「ふーん……。いいよ、俺が出しといてあげるよ」


「ほんと?やった、ありがとう」


折部くん宛ての手紙を兄に渡した……それが間違いだった。


その手紙は、折部くんへ届くことはなかった。



しばらく手紙を出し続けたけど、返事がなくて……。


【迷惑だったらごめんなさい。これで最後にします】という手紙を最後に、もう送るのはやめた。



それから学年が上がって、忘れかけた頃。


たまたま兄の部屋で見つけた段ボール箱。

その中から大量の折部くん宛ての手紙を見つけた。


切手の貼られていない手紙を見て……、すべてを察した。


返事がなかったわけじゃない。

私の手紙が届いてすらいなかったのだ。


私は、折部くんを裏切ってしまった。


転校ばかりで人との繋がりを信じていなかった折部くんに、嘘を吐いてしまった。



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