妹を溺愛する兄が先に結婚しました
「でも、結咲のメイドが見れないのはちょっと残念だよね」


「なんで?」


「だって、結咲ってツインテールが似合いそうじゃん。

わりと胸あるし、ルックスも申し分ないし、メイドに持ってこいだと思うんだけどな」


そんなことを言ってくれるクラスの女子。

お世辞でも嬉しい。


「ありがとう。そんなこと言ってくれるのは、ゆみちゃんだけだよ。

……代わってあげようか?」


「やだ。先生に怒られる」


ゆみちゃんの即答に思わずムッとする。


「ていうか、似合うからこそ真崎先生は見せたくないんでしょ」


「あー、そういうことか!」


ゲラゲラ笑う女子たち。


みんな、もうちょっと私に優しくしてくれてもいいんだよ……?



***



「先輩のクラスって喫茶店やるんですよね?」


部活の休憩時間中、後輩に話しかけられた。


「うん、そうだよ。来てね」


「もちろん行きます。

浅香先輩はメイドやるって言ってましたけど、真崎先輩は?」


「はは……っ。私もやりたかったんだけどねー……」


チラッと兄の方を見て、答える。

「許してくれなかった」


「あー、なるほど。それは残念ですね」


……残念なんてもんじゃないよ。

どうにかしてくれっ。


ま、それを後輩に言っても仕方ないけど。



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