妹を溺愛する兄が先に結婚しました
教室に入ると、場所を作るためにクラスメイトが机を後ろに下げていたので、私もそれに加わった。


下げ終わって、ブルーシートを広げている時。

たった今、教室に入ってきた人物にギョッとする。


「時原……⁉」

被服室に行ったと思っていた時原がいて、思わず駆け寄った。


「被服室に行ったんじゃないの?」


「んー、これから行くよー」


……悪気はなかったけど、結果的に嘘を吐いてしまった。

ごめん、三つ葉ちゃん。


時原から顔を背けて、心の中で謝罪する。


ふと。

「真崎」

鼻にかかるような甘い声で名前を呼ばれて……。


顔を上げた、次の瞬間。

倒れ込むように、私の左肩に時原の頭が乗っかった。



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