妹を溺愛する兄が先に結婚しました
「──っ?!」


ここは教室で、もちろんクラスメイトもいる。


そんな状況でこんなことをされて、注目されないわけがなく。

だからといって、私もクラスメイトの目を気にできるほど平常心でいられない。


時原の髪の毛が首筋に触れてくすぐったい。

肩から伝わる熱に心臓がバクバクしている。


意識はすべて、時原の額と触れる左肩へ持っていかれる。



だけど……。


「眠い……」


その言葉を聞いて、身体から力が抜ける。


ビックリした、ビックリした……。

そういうことか。


「大丈夫?」


左手で包み込むように時原の頭を撫でた。


ふわふわな髪。触り心地がいい。


「ダメ。眠すぎて、気持ち悪い……」


「え、それはヤバいじゃん!早く保健室に行こっ」


頭を上げた時原の手首を取った。


教室を出ていく際、見てはいけないものを見るかのようなクラスメイトの視線は無視した。



< 256 / 447 >

この作品をシェア

pagetop