妹を溺愛する兄が先に結婚しました
兄は、私を抱き寄せて。
「俺の妹が急病みたいでーす」
と声色を変えて保健室の先生に答える。一方で、
「ということでお前はすぐ戻れ」
時原には冷たい声で吐き捨てた。
それはもう、別人かと疑うほどの変わりよう。
「……って、ちがーう!逆、逆!私じゃなくて、時原が用あるの!」
兄を押し退けて反論した。
保健室には他に誰もおらず、ベッドが空いていたので寝かせてもらえることになった。
文化祭準備に変更になったとはいえ一応授業中なので、私は、時原がベッドに入ったのを確認してすぐに保健室を出た。
何よりも、突き刺さる兄の視線から逃げ出したかった。
***
6時間目が終わって、そのまま解散。
今日は部活が休みなのでこのまま帰宅できる。
……と、その前に。
保健室から戻ってこない時原の様子を見に行くことにした。
帰り支度を済ませ荷物は置いたままにして、教室を出る。
他のクラスはまだ帰りのホームルーム中なのか、廊下は人が疎らで静か。
早退する時のようなちょっとした特別感を抱きつつ、4階の教室から1階にある保健室へ行く。
「俺の妹が急病みたいでーす」
と声色を変えて保健室の先生に答える。一方で、
「ということでお前はすぐ戻れ」
時原には冷たい声で吐き捨てた。
それはもう、別人かと疑うほどの変わりよう。
「……って、ちがーう!逆、逆!私じゃなくて、時原が用あるの!」
兄を押し退けて反論した。
保健室には他に誰もおらず、ベッドが空いていたので寝かせてもらえることになった。
文化祭準備に変更になったとはいえ一応授業中なので、私は、時原がベッドに入ったのを確認してすぐに保健室を出た。
何よりも、突き刺さる兄の視線から逃げ出したかった。
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6時間目が終わって、そのまま解散。
今日は部活が休みなのでこのまま帰宅できる。
……と、その前に。
保健室から戻ってこない時原の様子を見に行くことにした。
帰り支度を済ませ荷物は置いたままにして、教室を出る。
他のクラスはまだ帰りのホームルーム中なのか、廊下は人が疎らで静か。
早退する時のようなちょっとした特別感を抱きつつ、4階の教室から1階にある保健室へ行く。