妹を溺愛する兄が先に結婚しました
保健室のドアを少しだけ開けて、中を覗く。


保健室の先生と、女子生徒が2人、男子生徒が1人、……よし。

兄の姿がないことを確認して、今度はドアを大きく開けて中に入った。


「失礼します」


「あっ。時原くんならまだいるわよ」


女子生徒と談笑中だった先生が私に気付いて、一言、そう教えてくれた。



3つあるベッド。

うち1つが、淡いピンク色のカーテンで仕切られて見えないようになっていた。


出ていく前と同じ状況なので、先生に聞かなくてもそこに時原がいるのは明白だった。


カーテンに手をかけて、躊躇(ちゅうちょ)する。

寝ているところを勝手に入るのはどうなのだろうか、と。


いろいろ考えを巡らせて……、

結局、カーテンを開けた。


とりあえず声だけはかけよう。


なるべくカーテンレールの音を立てないように開けて……。

思わずズッコケそうになる。


「起きてたの?」


「あ、真崎。おはよう」


うつ伏せになってスマホをイジっていた時原。

私を見るなりマイペースに挨拶をする。


……ほんと自由だな。

と思いつつ、ベッドの横に立った。


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