妹を溺愛する兄が先に結婚しました
「真崎、隠すよ」


「え、……うわっ」


時原に布団を被せられた。


胡坐(あぐら)をかく時原の足元で、布団から身体が出ないように縮こまる。



「時原くん、起きてる?」

シャッとカーテンの開く音がした。


「……あ、起きてるわね」


「時原先輩。大丈夫ですか?」


パタパタと駆け寄る小さな足音がベッドの横で止まった。


布団を通すと音の通りが悪くなるけど、会話くらいなら聞き取れる。


……ていうか、誰だろう。


「うん、大丈夫。でも、どうして夏目が?」


ん?……夏目?

って、三つ葉ちゃん⁉


「えっ」という声が出そうになって、思わず口を押える。


「先輩のクラスに行ったら、『保健室に行った』って……和奏先輩から聞いて」


「そうなんだ」


そこにいるの、三つ葉ちゃんなんだ……。


バレてはいけない緊張感と、内緒にしている罪悪感と、わざわざ会いに来る三つ葉ちゃんへの焦燥感が混在して、

私の中にモヤモヤが広がった感じがした。



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