妹を溺愛する兄が先に結婚しました
「あら、そういえば真崎さんは?」


「あー……、出ていきました」


「いつの間に。

……時原くんも帰れそうなら帰ってね」


先生の足音が遠ざかった。


三つ葉ちゃんはその場に残っているようで、まだ布団から出られない。



「真崎先輩もいたんですか……?」


「うん。いたよ」


……今もいますけどね、と心の中でツッコんでおく。


「そう、なんですか……。

あの、時原先輩と真崎先輩ってどういう関係なんですか?」


「……?友達だよ」


「ほんとにそれだけですか?

真崎先輩のこと……、その、好き……じゃないんですか?」


「え?」


え?

待って……、何を聞いているの?


やだ。聞きたくない。


咄嗟に耳を塞ぐ。



だけど、そんなの無意味だった。


「好きじゃないよ」


「ほんとですか?」


時原の答えと三つ葉ちゃんの弾む声が嫌でも耳に入ってきた。


< 264 / 447 >

この作品をシェア

pagetop