妹を溺愛する兄が先に結婚しました
***



自分の担当時間を終えて我がクラスの喫茶店へ行くと、想像以上の繁盛を見せていた。

……おお、なかなかの人の入り!


チラッと中を覗いて、給仕中の爽や時原を確認する。



メイドの爽……可愛い。


黒いストレートの髪を低い位置で2つに結んでいて、いつもは大人っぽい爽が幼く見える。

(もも)の絶対領域がエロティック。



そして、執事の時原。


モノトーンの服をきっちり着こなしていて、いつも下ろしている前髪をかきあげているせいか、儚い雰囲気と相まって色っぽく見える。


朝も見たけど、カッコよすぎて眩しい。

他人に見せたくないという兄の気持ちが、今ならわかる気がする。



「真崎も交代?」


後ろから声をかけられて振り返ると、和奏がいた。


「うん。和奏も?」


「そ。爽を迎えにきたんだけど……、忙しそうだな」


クラスのグループラインに送られたシフトを見ると、爽も時原ももうすぐ交代の時間。


だけど、今の賑わいだと交代の引継ぎに時間がかかりそう。



どうしようか、と悩んで腕を組んだ和奏は、ふと何かを思い出したように口を開いた。


「そういやさ……、静也と回らないの?」


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