妹を溺愛する兄が先に結婚しました
「……なんで?」


答える声が低くなる。


「いや。……静也に誘われなかった?」


「誘われてないよ」



思い出すのは、保健室での時原の言葉。


『誰といたいかは自分で決めたい』


その言葉を聞いて私から誘えるはずもないし、誘われてないってことはそういうことなんだろう。


それはそれでいいんだ。


時原の心に私がいないことはわかりきっていて、その辺はちゃんと肝に銘じている。


私と時原の関係は、友達であり味方。

近いようで遠く、遠いようで近い存在。


それでもいいから一緒にいたいと私が一方的に思っているだけ。


だから、誘われないのはしょうがないと割り切れる。



私が気にしているのは……、


なんで『自分で決めたい』なんて言葉が出たか。

なんでその理由で三つ葉ちゃんの誘いを断ったのか。


……時原に好きな人もしくは気になる人ができたんじゃないか、と勘繰ってしまう自分がいる。


それがモヤモヤと渦巻いている。



その時。

ピロンとスマホが鳴った。


「あ、来た!」


スマホに届いたメッセージを見て、頬を緩ませる。


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