妹を溺愛する兄が先に結婚しました
「いるじゃん!」


真琴が声を上げたので、足を止めた。


「何が?」


「イケメン!……今の執事!」


執事って……。

え、時原⁉


「時原はダメ!」


無意識にそう叫んでいた。



ポカーンとする真琴やイッチーたちを見て、我に返る。


……やっちゃった。

後悔しても、時すでに遅し。


「えぇ、どういうことぉ〜?」


真琴のあからさまなニヤニヤ顔が近付いてきて、逃さんとばかりに肩を組まれた。


彼女から顔を背ければ、同じようにニヤつくイッチーと視線がぶつかった。


「好きなの?」


ストレートな言葉を投げかけてくるもんだから、身体中に熱が帯びていく。



……不覚だった。


真琴の言うイケメンが時原だったことよりも、みんなの前で独占欲を剥き出しにしてしまったことの方が計算外。


完璧、私の油断。


もっと上手い交わし方があったはずなのに、思っていたことをそのまま口にしてしまった。


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