妹を溺愛する兄が先に結婚しました
……別に、折部くんが文化祭に来た理由に興味はないんだけど。
そう思っていた私の耳に、信じられない言葉が飛んでくる。
「真崎に会いたかったからだよ」
会いたいなんてカッコイイ男子に言われたら、照れて顔が赤くなったり嬉しさが表情に滲み出たりするものだろう。
相手が初恋の人なら、なおさらそういう反応になるのが正しい。
けれど私は、臨戦態勢に入る猫の如く顔を強張らせた。
「……なに、その顔」
不服そうにする折部くんを見て、咄嗟に頭を下げる。
「ごめんなさい」
ずっと吐き出したかった言葉をようやく口にした。
顔を上げると、驚いた顔の折部くんが目に入って……、
落ち着いて言葉を紡いでいく。
「私……、ずっと謝りたくて。
その、覚えてないかもしれないけど……折部くんが転校する時、手紙を出すって言ったのに」
「覚えてるよ」
声が僅かに落ちた。
『真崎に会いたかったから』って言われた時、手紙のことで私に言いたいことがあるのだと思った。
だから、つい顔を強張らせた。
手紙が届かなかったことをどう思っているか、聞くのは怖い。
それでも何もなかったように接することはできない。
話があると言ったのは折部くんだけど、私だって話があった。
そう思っていた私の耳に、信じられない言葉が飛んでくる。
「真崎に会いたかったからだよ」
会いたいなんてカッコイイ男子に言われたら、照れて顔が赤くなったり嬉しさが表情に滲み出たりするものだろう。
相手が初恋の人なら、なおさらそういう反応になるのが正しい。
けれど私は、臨戦態勢に入る猫の如く顔を強張らせた。
「……なに、その顔」
不服そうにする折部くんを見て、咄嗟に頭を下げる。
「ごめんなさい」
ずっと吐き出したかった言葉をようやく口にした。
顔を上げると、驚いた顔の折部くんが目に入って……、
落ち着いて言葉を紡いでいく。
「私……、ずっと謝りたくて。
その、覚えてないかもしれないけど……折部くんが転校する時、手紙を出すって言ったのに」
「覚えてるよ」
声が僅かに落ちた。
『真崎に会いたかったから』って言われた時、手紙のことで私に言いたいことがあるのだと思った。
だから、つい顔を強張らせた。
手紙が届かなかったことをどう思っているか、聞くのは怖い。
それでも何もなかったように接することはできない。
話があると言ったのは折部くんだけど、私だって話があった。