妹を溺愛する兄が先に結婚しました
***



「あ、折部。どこに行ってたんだよ」


教室の前でみんなが待っていた。


「悪い悪い。サッカー部の知り合いに会いたくて、真崎に案内してもらったんだ。

……もう帰るの?」


調子良く簡単に嘘を吐く折部くんの少し後ろに立つ。


「そろそろ帰ろうかって話してたところ。

結咲、ありがとね。結局、ずっと付き合ってもらっちゃって」


「ううん。みんなといれて楽しかった」


「あたしも。今度遊ぼうね」


玄関までみんなを見送りにいく。


手を振りながらその背中を送った。


最後に折部くんが振り返って鋭い眼光を向けたので、私もつい睨み返してしまった。



みんなの姿が見えなくなった後、自分の口を押えながらしゃがみ込んだ。



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