妹を溺愛する兄が先に結婚しました
「友達とは言ったけど、なんとも思ってないなんて言ってないよ」


私の返答に眉を顰める三つ葉ちゃん。


「……でも、友達だって言いました」


「友達だからね」


「友達ってことは好きじゃないってことですよね?」


そこまで言われて、ようやく三つ葉ちゃんの考えを理解した。


友達≠好きな人。

つまり、三つ葉ちゃんの中では友達間の恋愛はないと思っているのだろう。


友達は友達、好きな人は好きな人。


まあ、人それぞれ考え方があるから仕方ないことだけど。

それで嘘つき呼ばわりするのは、違う気がする。



「……違う。私は時原のことが好き。

でも、もう気持ちは伝えてあるから、友達でいるしかないの」


「え……?」


くりんと大きな瞳をさらに大きく開く三つ葉ちゃんから、目を逸らした。


感情的にならないように。

一旦、自分の中で気持ちを落ち着かせる。


「三つ葉ちゃんにとって、“好き”って気持ちがあったら友達じゃないなら、私は時原を友達として見ていない。でも、時原は私のこと友達としか──」


「……フラれたんですか?」


私の話に三つ葉ちゃんが言葉を被せた。


あんなに静かな三つ葉ちゃんが、こんなに押しが強いなんて……。

たじろいで後退りしそうになった足をなんとか留める。


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