妹を溺愛する兄が先に結婚しました
「フラれたっていうか……。うん、まあそうかな」


はっきり断られたわけじゃないけど、結果は同じようなもの。


自分の傷を自分で抉っているような気もするけど。


若干、胸を痛めたそんな私に。

直後。容赦ない言葉が刃物の如く切り込まれた。



「自分のことずるいって思いませんか?フラれたのに、友達のまま居続けるなんて……。

少しは私の気持ちも考えてください!」


ずっと(くすぶ)っていた思いをぶつけるように叫んだ三つ葉ちゃん。


「……っ」


「先輩はフラれても、友達のままいられるのかもしれませんけど……。私はそんなの、嫌です……っ。

時原先輩のことが好きで、先輩も私のことを好きになってもらいたい。


フラれたなら……、私に譲ってくださいよっ」


上擦った声が涙に変わり、切実な思いを吐露する。



人は悲しい時に泣く。感情的になって泣く。

でも……怒る時だって泣きたくなるんだ。



どうして私がそこまで言われないといけないの?


爽の時もそう。

どうしてみんな、私に言うの。


本人に言えばいいじゃん。


どうしようもない思いを吐き捨てたいからって、私を利用しないでよ。



私だって必死なのに……。



目頭に熱いものがこみ上げた。


その時。



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