妹を溺愛する兄が先に結婚しました
少し離れたところの道端で、折部くんが足を止めたので私も立ち止まる。


また何か嫌味でも言われるのかなと構えた、けど。


私の手を離すなり、

「悪かったな……」と申し訳なさそうに呟いた。


「ううん。連れ出してくれてありがとう」


「……それだけじゃねぇ。今まで悪かったな。『嫌い』とか『嘘つき』とか言って」


「ふっ」


折部くんらしからぬ消えゆく弱々しい声に失笑してしまった。


「なんで笑うんだよ」


「だって、謝られるとは思ってなかったから。

……もしかして、今日話があるって言ったのはそのこと?」


「まあ……」


「お兄ちゃんに何か言われた?」


「いや。お前の兄さんが溜めてた俺宛ての手紙を渡された」


「……え」


私は、あからさまに顔を引きつらせた。


真琴から聞いたのは、兄が折部くんに会いに来たということだけで、その話は聞いていない。


手紙って私が書いたやつだよね?

それを今、渡したの?


……昔書いた手紙ってわりと黒歴史なんだけど。



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