妹を溺愛する兄が先に結婚しました
外は、煌めく満天の星空。

空気が澄んでいるせいか高く広く見える。


校門を出て、学校名が入ったネームプレートの横にもたれかかる時原を見つけた。


兄に嘘ついて出てきたせいか、逢引気分。


「遅くなってごめん」


「ううん。走ってきたの?」


ふと。息を整える私の前髪に時原が触れた。


「……──っ!」


走ったせいで前髪が上がっていたらしく、時原が直してくれた。


急な距離感にまた胸が鳴る。


なんの意味もない優しさから来る行動だとしても、私には刺激が強くてちょっとのことでも簡単にドキドキ。


照れながらお礼を言って、並んで歩き出す。


その間に心を落ち着かせた。



歩きながら話すって……。

普段は何気なくやっていることだけど、話すことを決めていざ話そうとすると難しいものらしい。


どう切り出そうか、と悩んでいた私に。


「寄り道してもいい?」

と時原が聞いてきた。


視線を合わせてコクリ頷くと、駅への道から逸れて足を進めたのでついて行く。



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