妹を溺愛する兄が先に結婚しました
電灯に照らされた2つの影。


これからもこの距離感でいられるなら、伝えない方がいいのかもしれない。

ずっとこのまま……。


また友達に戻れるとは限らない。


『味方でいさせて』と食い下がった私。

時原は承諾してくれたけど、次も友達に戻れるとは限らない。


隣にいることが当たり前になれないなら、伝えずに友達で居続ける方が幸せなのかもしれない。


……って何を考えているんだ。


弱気になった気持ちを振り払うように、首を振った。


好きって言う。そう決めたんだから、もう迷うことはない。

場の空気に流されて、感情で動くのはやめよう。


前回は、感情が溢れてつい告ってしまったのだから。

同じ過ちは繰り返さない。


そう思っていた私の目に飛び込んできた景色に、早速心が折られそうになる。



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