妹を溺愛する兄が先に結婚しました
うぅ……。

ていうか、なんで私が兄の顔色を窺わなきゃいけないの。


別に悪いことをしているわけじゃないのに。



そうだよ。悪いことしてないよね?


好きな人と一緒に帰って、付き合うことになった。


兄にとっては、不服なことかもしれないけど。

これが私の願ったことなんだから。


私の人生に文句言われる筋合いはない!



自問自答の末、ムカムカがこみ上げてきた。

下げた顔を戻して、キッと兄を睨みつける。


「付き合うことになったの!」


そうだ。堂々としていればいいんだ。


私の(たかぶ)った叫び声は、2階の廊下に響いた。



「……は?」


睨まれても怯まなかった兄が、その一言で、表情(かお)を変えた。


眉が上がり、口は開いたまま。フリーズした。


お怒りの言葉が飛んでくると思って身を構えた私もビックリ。

言葉を失う兄が珍しかった。


でも、我に返ったらどんなことを言われるかわからない。

まだ心を保ったまま、兄の言葉を待つ。


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