妹を溺愛する兄が先に結婚しました
「んー。そうみたいだね」


「なんて答えたの?」


「断ったよ。誰と一緒にいたいかは自分で決めたいし」


「だよなー。……一緒にいたいのって、もしかして真崎?」


揶揄うつもりで言ったのかわからないけど、探るように聞かれて、

俺は素直に「うん」と答えた。


認めた、とでも言わんばかりに和奏の目が見開かれる。


「え、なに。すげぇ素直。真崎のこと好きになった?」


「うん」

同じ調子で答えると、そこからは和奏の独壇場。


恋バナに飢えた女子中学生みたくあれこれ聞いてきた。

いつから、とか。どこを好きになったの、とか。


俺は、それを全部無視した。



そして、文化祭2日目のことだ。


「おい、静也。お前、なんでまだ真崎を誘ってねぇんだよ」


すごい形相で近付いてくる和奏に、思わず後退りした。


「何を?」


「文化祭だよ。一緒にいたいって言ってたじゃん」


「うん、言ったよ」


「じゃあ、なんで誘わないんだよ。誘わないと一緒に回れねぇよ?」


「あ、そうなんだ」


和奏がガックリと項垂れた。


< 365 / 447 >

この作品をシェア

pagetop