妹を溺愛する兄が先に結婚しました
溺愛
妹が真相を知りました
月が替わって、ガクンと気温が落ちた12月。
外に出るのが億劫になるほど、暖房の入った教室の温かさが恋しい。
「むふふ」と笑みが抑えられない爽の声を聞きながら、学級日誌をつける。
調理実習で飯田くんがお味噌汁を零しました。
……と。よし、できた。
今日の出来事の欄に何を書こうか迷ったけど、思い浮かぶのはそれくらい。
日誌を閉じて、顔を上げる。
前の席には、ニヤニヤが止まらない爽がこちらを向いて座っている。
怪訝な表情をして「なに?」とようやく口にした。
「楽しみだね、放課後デート」
口に手を当てて、だらしなく頬を緩ませる爽。
私は、くっ、と悔しさを飲み込んだ。
「……お兄ちゃんたちのプレゼントを買うだけだから」
「それも放課後デートでしょ。初めてのデート、緊張だねー」
またニヤニヤ。
時原と付き合って緊張が解けない私を、たまに爽がこうやって揶揄う。
それに反発すると、その反応すらも楽しいのかさらなる反撃が返ってくる。
爽がお兄ちゃん化している……。
「もう!先帰ればっ!」
「待っている間緊張する、って言うから一緒にいるんでしょ。感謝されこそすれ文句言われる筋合いはないわ」
外に出るのが億劫になるほど、暖房の入った教室の温かさが恋しい。
「むふふ」と笑みが抑えられない爽の声を聞きながら、学級日誌をつける。
調理実習で飯田くんがお味噌汁を零しました。
……と。よし、できた。
今日の出来事の欄に何を書こうか迷ったけど、思い浮かぶのはそれくらい。
日誌を閉じて、顔を上げる。
前の席には、ニヤニヤが止まらない爽がこちらを向いて座っている。
怪訝な表情をして「なに?」とようやく口にした。
「楽しみだね、放課後デート」
口に手を当てて、だらしなく頬を緩ませる爽。
私は、くっ、と悔しさを飲み込んだ。
「……お兄ちゃんたちのプレゼントを買うだけだから」
「それも放課後デートでしょ。初めてのデート、緊張だねー」
またニヤニヤ。
時原と付き合って緊張が解けない私を、たまに爽がこうやって揶揄う。
それに反発すると、その反応すらも楽しいのかさらなる反撃が返ってくる。
爽がお兄ちゃん化している……。
「もう!先帰ればっ!」
「待っている間緊張する、って言うから一緒にいるんでしょ。感謝されこそすれ文句言われる筋合いはないわ」