妹を溺愛する兄が先に結婚しました
「家でもピリついてるの?」


職員室を出て、爽が恐る恐る聞いてきた。


私は首を横に振る。


「いつもと変わらない。……けど、爽と長電話した夜、お兄ちゃん出かけたきり帰ってこなかったんだよね。今までそんなことなかったから」


「長電話って……結咲が付き合った日か。やっぱりショックだったのかなー。そりゃそうだよね」


「どうなんだろう。私、もっと邪魔してくるのかと思ってたから……、案外、どうでもいいのかも」


お兄ちゃんの態度に呆気に取られたものの、気にするのは思うツボな気がしてやめた。



その後……昇降口で待っていると、時原と和奏が来た。


あからさまに気を利かせて爽たちが帰っていったので、あっという間に時原と2人きり。


「行こっか」と時原が目を合わせてきて、私たちは歩き出した。



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