妹を溺愛する兄が先に結婚しました
「ど、どうしよう……。ゆかなさんに連絡した方がいいかな」


「真崎、一旦落ち着こう」


「う、うん。そうだよね。ただのナンパに引っかかっているだけかもしれないし……」

と言っておいて、頭ではその説を否定している。


……あのお兄ちゃんが、ナンパなんかに引っかかるわけがないじゃん。


カフェの前で仲良さげに話している2人は、しばらくそこを動こうとしない。


確かめたいけど、勘違いだったら恥ずかしい。

……でも、奥さんではない人と腕を組むなんておかしくない?

私が子供だからそう思うの?大人は普通なの?


と自問自答をしばらく繰り返していた私は、

背後に時原がいなくなっていたことに気付かなかった。



あ、移動する。

腕を組んだまま歩き出した2人について行こうと、立ち上がった時。


「行こう……、──っ!」

ようやく時原がいないことに気付いた。


え、うそ!なんで?


キョロキョロ見渡しても近くに時原の姿はなく、道行く人と目が合うだけだった。


途端に不安がぶわっと顔を出す。


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