妹を溺愛する兄が先に結婚しました
「ときはらぁ……っ、ごめーん」


「え?何が?」


「私、バカだった……。時原のこと考えなくて、放っておいて……、帰っちゃったのかと思った」


「俺のこと?」


「せっかく一緒にいれたのに。時原、こういう買い物とか好きじゃないのに。……お兄ちゃんなんて無視すれば良かった」


眉を下げて私がそう言うと、時原は「そういうことか」と微笑んだ。


そして……。


「確かにあまり出かけないけど、真崎と一緒ならどこでも楽しいよ」

と私の頭を撫でた。


「うぅ……、ありがとう。でも私を甘やかさないでください」


嬉しくて申し訳なくて……手で顔を隠す私。


「甘やかしてるわけじゃないんだけど……。

急にいなくなってごめんね。寒いかと思って、コレを買ってたんだ」


私の手を取って、乗せた……それは、温かいお茶のペットボトルだった。


ぎゅっと包み込むと、冷えた手が急速に温かくなっていく。


温かい時原の優しさを肌身で感じて、涙が出そうになる。

……街中だから泣かないけど。


その代わり、私の中に“好き”が積もった。



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