妹を溺愛する兄が先に結婚しました
「仲いいねぇ~」
場にそぐわない明るい声が届いたのは、手元の優しさに視線を落としている時だった。
人が行き交う中で、どうして自分たちに言われたと瞬時に理解できたかというと……。
その声の主が私の知り合いだったから。
「日向さん⁉」
金色と黒色が交じったツートンカラーのヘアーをした小柄な彼──日向さんは、目が合うとニコッと目尻を下げた。
「久しぶりだね」
「え、えっ?なんで?」
「ちょっと、桜太に呼ばれて……。こっちが噂の彼氏?」
「っ?!」
日向さんの視線が時原へ向いて、『噂の彼氏』なんて言うもんだから目をむいた。
“噂”ってどこの噂?
……って、考えなくてもわかる。お兄ちゃんだ。
日向さんは、兄の昔からの知り合い。
兄がグレていたらしい中学生の時からの友達で、お姉さんに子供ができたのをキッカケに兄と共に真面目に生きるようになったという。
兄には昔からの友達がいないので、日向さんが唯一の古い付き合いの友達ということになる。
私も彼とは何度か面識があって、見た目は派手で怖いけど人懐っこい明るさが魅力的な人、という印象を受けた。
場にそぐわない明るい声が届いたのは、手元の優しさに視線を落としている時だった。
人が行き交う中で、どうして自分たちに言われたと瞬時に理解できたかというと……。
その声の主が私の知り合いだったから。
「日向さん⁉」
金色と黒色が交じったツートンカラーのヘアーをした小柄な彼──日向さんは、目が合うとニコッと目尻を下げた。
「久しぶりだね」
「え、えっ?なんで?」
「ちょっと、桜太に呼ばれて……。こっちが噂の彼氏?」
「っ?!」
日向さんの視線が時原へ向いて、『噂の彼氏』なんて言うもんだから目をむいた。
“噂”ってどこの噂?
……って、考えなくてもわかる。お兄ちゃんだ。
日向さんは、兄の昔からの知り合い。
兄がグレていたらしい中学生の時からの友達で、お姉さんに子供ができたのをキッカケに兄と共に真面目に生きるようになったという。
兄には昔からの友達がいないので、日向さんが唯一の古い付き合いの友達ということになる。
私も彼とは何度か面識があって、見た目は派手で怖いけど人懐っこい明るさが魅力的な人、という印象を受けた。