妹を溺愛する兄が先に結婚しました
~Side 桜太~
「彼氏ができたー⁉」
日向が叫んだ。
こんな雑踏の飲み屋の中じゃ、声が紛れて誰も気にしない。
『付き合うことになったの!』
結咲から衝撃的な言葉を聞いたその夜、俺は日向を飲み屋に呼びつけた。
何杯目かのビールを飲み干した時、日向が来て……、
俺はこの時点でかなり酔っていた。
「お待たせしました。生2つとなんこつ唐揚げです」
バイトらしき若い男が運んできたビールを一口啜る。
「結咲ちゃんにようやく彼氏ができたのかぁ。今、高2だっけ?……おめでとう!」
ぐいっと飲んでグラスから放したその口でアホなことを言い出した日向。
なんとなく頭が重い気がして肘をついて支えていた俺は、奴を睨みつける。
「ふざけんな。全然めでたくねぇよ」
「はははっ。なるほどなー、それで荒れてんだ。お前がそんなに酔うの珍しいもんな」
……うるせぇ。荒れてねぇよ。
俺は、先に頼んでいた厚焼き玉子を箸でぶっ刺して口に放り込む。もう味もわからねぇ。
「でもさ、結婚したんだからそろそろ妹離れしろよ。ちょうどいいタイミングじゃん」
妹離れね……。
それすると、俺は自分すらも見失うんだけどな。
「彼氏ができたー⁉」
日向が叫んだ。
こんな雑踏の飲み屋の中じゃ、声が紛れて誰も気にしない。
『付き合うことになったの!』
結咲から衝撃的な言葉を聞いたその夜、俺は日向を飲み屋に呼びつけた。
何杯目かのビールを飲み干した時、日向が来て……、
俺はこの時点でかなり酔っていた。
「お待たせしました。生2つとなんこつ唐揚げです」
バイトらしき若い男が運んできたビールを一口啜る。
「結咲ちゃんにようやく彼氏ができたのかぁ。今、高2だっけ?……おめでとう!」
ぐいっと飲んでグラスから放したその口でアホなことを言い出した日向。
なんとなく頭が重い気がして肘をついて支えていた俺は、奴を睨みつける。
「ふざけんな。全然めでたくねぇよ」
「はははっ。なるほどなー、それで荒れてんだ。お前がそんなに酔うの珍しいもんな」
……うるせぇ。荒れてねぇよ。
俺は、先に頼んでいた厚焼き玉子を箸でぶっ刺して口に放り込む。もう味もわからねぇ。
「でもさ、結婚したんだからそろそろ妹離れしろよ。ちょうどいいタイミングじゃん」
妹離れね……。
それすると、俺は自分すらも見失うんだけどな。