妹を溺愛する兄が先に結婚しました
信じられないものでも見るかのような疑心の目を向けられて、つい鼻で笑ってしまった。


……普通の人には、わからないだろうな。


「俺はこの世で1番結咲が大切だ。他の何よりも結咲を優先させる。

デートしててもベッドの上にいても、結婚式を挙げていても。結咲に何かあれば飛んでいく。


彼女よりも嫁よりも子供よりも、妹を大切にする。……そんな男と結婚したいと思うか?」


「子供を出されると……」


「俺は、もし誰かと婚姻関係を結ぶなら愛のない結婚を選ぶ。俺にとって結婚はその程度のもの。

だから、ゆかなとの結婚になんの躊躇いもなかった。

むしろ、向こうも俺に好意がないのは好都合。堂々と結咲を好きでいられる」


「お前……、マジで妹を溺愛してるのねぇ」


呆れる日向のため息を聞いて、少し頭が冷えた。


こんな話を聞いたら誰でも呆れるだろう。それくらいわかってる。

でも、口にした言葉に嘘偽りはない。


「そんなに好きなら、結咲ちゃんと結婚すればいいのに。血は繋がってないんだから問題はないだろ?」


「法律上はできても、気持ち的に無理だろ。……結咲が」


結咲は俺のこと兄としか見ていない。

血が繋がっているか繋がっていないかに限らず、俺たちは家族だから。



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