妹を溺愛する兄が先に結婚しました
視線を戻すと、桜太くんは自分から声をかけたくせに口を開こうとせず、棚に並ぶお酒のラベルを眺めていた。
……何か話してほしい。
お酒を取られちゃったから手持ち無沙汰なのに。
「どうしたら……、好きなように、生きられるかな」
先に口を開いたのは、俯く私だった。
隣から返答がないのをいいことに、私の口は言葉を続けようとする。
「結婚なんてしたくない……。仕事を続けたい……。
大人になったら、自分のことは自分で決めて、自分のしたいように生きられると思っていた。
……でも、親にとって子供は一生子供。自分の人生の一部だから、私のことにも口を出してくる。
すべてを捨てられたら楽なのに……」
初めて人に吐露した気持ち。
久しぶりに会った同級生──しかも、名前以外のことは何も知らない相手に、どうして話したのかわからない。
誰かに聞いてほしかったのかもしれない。
言葉にしたことで少しだけ胸がすいた気がした。
「そういや、婚約者がいるんだっけ?まだ結婚してねぇの?」
「婚約者っていうか、付き合っているわけじゃないの……。親に紹介されて、お互いそうなんだろうなって感じで。
でも、相手の人、結婚したら女性は仕事をやめて家庭に入るものだと思っていて……、私は仕事を続けたいから意見が合わないの」
「結婚やめれば?」
「余程の理由がない限り、両親が許してくれない。……弟たちに迷惑がかかるから逃げ出すこともできない」
「ふーん……」と呟いた桜太くん。
あまり興味ないよね、と私は少しだけ申し訳なくなった。
……けど、それは私の勘違いだった。
……何か話してほしい。
お酒を取られちゃったから手持ち無沙汰なのに。
「どうしたら……、好きなように、生きられるかな」
先に口を開いたのは、俯く私だった。
隣から返答がないのをいいことに、私の口は言葉を続けようとする。
「結婚なんてしたくない……。仕事を続けたい……。
大人になったら、自分のことは自分で決めて、自分のしたいように生きられると思っていた。
……でも、親にとって子供は一生子供。自分の人生の一部だから、私のことにも口を出してくる。
すべてを捨てられたら楽なのに……」
初めて人に吐露した気持ち。
久しぶりに会った同級生──しかも、名前以外のことは何も知らない相手に、どうして話したのかわからない。
誰かに聞いてほしかったのかもしれない。
言葉にしたことで少しだけ胸がすいた気がした。
「そういや、婚約者がいるんだっけ?まだ結婚してねぇの?」
「婚約者っていうか、付き合っているわけじゃないの……。親に紹介されて、お互いそうなんだろうなって感じで。
でも、相手の人、結婚したら女性は仕事をやめて家庭に入るものだと思っていて……、私は仕事を続けたいから意見が合わないの」
「結婚やめれば?」
「余程の理由がない限り、両親が許してくれない。……弟たちに迷惑がかかるから逃げ出すこともできない」
「ふーん……」と呟いた桜太くん。
あまり興味ないよね、と私は少しだけ申し訳なくなった。
……けど、それは私の勘違いだった。